「アリアドネ・ムジカ(Ariadne Musica)」は、1702年にヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(Johann Caspar Ferdinand Fischer, c.1656–1746/ドイツ)が出版したオルガン曲集。後にJ.S.バッハが「平均律クラヴィーア曲集(1巻 1722年/2巻 1742年)」を書く際、参考にした作品集として知られています。

「アリアドネ・ムジカ」は、<20の前奏曲とフーガ>と<5つのリチェルカーレ>の2部構成になっており、平均律の下敷きになったのは前半に置かれている<20の前奏曲とフーガ>です。バッハ平均律の24調とは行かないまでも、20曲ほぼ違う調(一部同じ調性の作品あり)で順を追って書かれており、コンセプトや主題のアイディア等、バッハに大きな影響を与えています。1曲1曲は短く、数段の規模で書かれています。

タイトルは、ギリシャ神話のアリアドネがテセウスに迷宮から脱出するための糸を与えた物語に由来しているそうで、「調性の”迷宮(ラビリンス)”へようこそ」というフィッシャーの声が聞こえてきそうです。

オルガン作品のためピアノで弾くことが困難な作品も多いですが、小林先生のオンライン平均律講座で3曲(1、10、12)、以前リサイタルで2曲(7、8)弾いてみたものをまとめました。足ペダルの要素をソステヌートペダルで保続するなどしています。1曲2分程度ですので、平均律を勉強する際の参考にしてみてください。楽譜は比較的簡単に入手できます。

第1番ハ長調

 

第7番ホ短調

 

第8番ホ長調(フーガ主題は平均律2巻ホ長調フーガと似ている)

参考:ホ長調フーガ(フィッシャー/バッハ)聴き比べは  こちら

第10番ヘ長調(フーガ主題が平均律1巻ヘ長調フーガと似ている)

 

第12番ト短調(作品のコンセプトが平均律1巻ト短調に影響していると思われる)

 

 

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