本番は「準備」が全て。今回のリサイタルへ向けて、課してみたいことがありました。

1、新たな奏法での試み

2、煮詰まって負のオーラを出さない

3、メンタルと体力の回復力

・・・で、試みた実験リポート。

【奏法】

40代以降、翌日・翌々日に練習の疲労が残ることが増えてきていました。特に本番前に練習が詰まってくると、腕の疲れ・肩こりに悩まされることも。一時期はマッサージに頻繁に通っていた時期もありました。

2018年12月〜から大野真嗣先生のところへ通い出し、ロシア奏法を主体とした重力奏法を学び始めました。アシスタントの比嘉洸太先生にもお世話になりながら、♪ド〜レ〜ド〜レ〜の初歩から2週間に1度のペースで通い現在約3年。元々は指導のためにと思っていたのが、自分の奏法の見直しになっていきました。46歳からのスタートなので、今まで弾いてきた奏法を全て覆すことは難しい。どうブレンドしていくか試行錯誤を続けています。

先生のところに通って一番学んでいるのが「脱力」です。支えるべきところ、抜くところ、細かい感覚を指摘いただくことで「脱力」がいかに深い世界であるか、そしてその感覚を掴むのには、畑を耕すようなコツコツとした意識改革が必要なことを知りました。そして、今回の準備中に1度も腕痛・肩こり・腰痛に悩まされることがなかったのは、私の中で大きな変化でした。

【暗譜/レッスン/練習】

1ヶ月前辺りから様子がおかしくなり、負のオーラが出始めることも。リサイタル前の独特の儀式?!でも家の雰囲気が重くなると一緒に暮らす家族にも迷惑をかけるので、なんとかしたい。というわけで、色々と準備を前倒しに計画。

暗譜に関しては、秋山徹也先生の勉強会に参加させていただくことを目標としながら、準備を進めました。月1回ペース、4,5,6,7,9月の計5回で組み立てました。7月末(3ヶ月前)までになんとか暗譜をひと通り終えたつもりでしたが、ここからがなかなか鬼門でした。1曲弾く分には出来ても、ハーフや全通しになるとボロが出る。表現を加えようと思うと崩れる。どうして「大丈夫」というところまで行き着けないのか、と何度も自分の至らなさに凹むこと数知れず、でした。本番1ヶ月前辺りに今峰由香先生(オンライン)、そして恩師の小林仁先生にも聴いていただいて、貴重なアドヴァイスを受け調整していきました。

仕事を休むのは1週間前から。ここから必要以上に練習へ欲を出すと大変なことになるのはわかっていたのにやってしまった…。1日に全通しを3回やった翌日(2回まではやっていたのですが、やれることはやるぞと意気込みすぎた…)、疲労で半日ダウン。この時期は無意識に緊張が続いているので、練習の疲れが普段より重く感じられるのです。ここは無理しすぎないように気をつけるべき反省点。この年齢になるとハードな弾きこみは2週間前までに済ませておく方がいいように感じました。

ただ早めから暗譜を準備していたのと、「楽しみながら準備しよう」と思ったのが功を奏したのか、負のオーラを出すことなく!本番を迎えられました。

【メンタル/体力の回復】

身体・メンタルのリカバーを意識してやってみようと、今回助けてもらった本。スタンフォード大学の日本人スポーツトレーナーの方が書いた本で、呼吸・食事・睡眠・運動が、いかに回復へ影響するか書かれていて、大いに参考にしました。特に脳の物質の話は大変興味深かったです。パフォーマンスする点で、スポーツと共通項が多いと感じます。

同じ著者の前作は、図入りもあってわかりやすい。内容がかぶるところもありますが、こちらも参考にしました。

この本も改めて読み返す。集中力、モチベーション、負の要素が頭に浮かんできたら… 知りたいことへ参考になることが書かれており、勇気をもらっていました。

毎度のごとく、今回も結構な「圧」は襲ってきました。でも対処方法がわかっていると少し楽。なるべく飲まれないように、意識的な呼吸をしていました。

【その他】

練習時間を生むための家事のやりくりも考えどころ。ネットスーパー、オンラインショップは、とても助かりました。コロナ前の前回は、ここまで整ってなかったなぁ。

あと、気分転換をどうするか・・・ウォーキングか読書。こちらの本を読んで、ピアノのことを考えない時間を作っていました。

♪♪♪

「仕事をしながら練習できる心身の回復の仕方」

「時期を細かく区切って指標を作り、本来の目標を目指す」

「演奏を客観的にチェックしてくれるメンター(先生)の存在」

年齢を重ねながら練習・演奏を継続していく上で、意識していきたいです。49歳ピアノ弾きの準備サンプルとして、ご参考になれば嬉しいです。

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