新年度が始まりました。ニュースを見るたび、重い気持ちになりながらも、続いてく私たちの生活… 音楽や本、友人たちとの繋がりがエネルギーになることを思う春休みでした。

この春休みは3つのコンサートへ。特にSchubertの最後のソナタ、D960 B-durを2回聴ける喜びに恵まれました。このソナタは若い頃からの憧れで、いつか弾いてみたいと熱望していながらも、執着・痛みから解放された先に透けて見える真実のような響きに、宝物でも見るような気持ちになってしまう。いつも遠くから「いいなぁ」と眺めている(←めっちゃSchubertっぽいな)、私にとってそんな曲なのです。今回、やっぱり弾いてみたい、近づいてみたい、と強く思いました。最後の3つのソナタで弾いてないのはこのB-durだけ。長くかかるかもしれないけれど、あの儚くも美しい世界へチャレンジしてみたい、と1歩進む気持ちを頂いて帰ってきました。

昨年読んだ本にArt(芸術)」の【ar】には、「つなぐ」という意味があることを知りました。「Arm(腕)」「articulate(発音する/関節を繋ぐ)」といった言葉にも含まれます。目に見えない音楽という【ar】は、人に動機を与え、次の1歩を促し、明日の生活を変えていく、そんな力を秘めている。人は、生きるために、物語・想像力が不可欠なことを感じます。「魂のお医者さんになりたい」… 以前、生徒が、音楽を志すことを決めた際に言った言葉も思い出しました。

その他コンサート前の腹ごしらえで久しぶりの1人外食、家でのティータイム、そして親友2人との初Zoom飲み、お花見散歩など、春休みならではの時間も過ごせました。

昨年12/21のコンサートDVDが届き、鑑賞しました。今のところ写真のみ。先生の編曲はとても弾きやすいので、いつか楽譜とコンサートでの参考音源で、広がっていく日が来ることを密かに願っています。小林仁先生のオンライン講座は第2期が今月から始まり、テーマはショパン:マズルカ全曲。ゲスト講師に江崎昌子先生を迎え、初回はスイス在住の岩井美子先生の演奏、と豪華で濃厚な時間がスタートしています。次回は、私も演奏担当。Op.6-4で、全マズルカ作品中、たぶん最も短い曲。これがなかなか…がっつり。ポーランドのダンス・民謡といったショパンを詳しく知るエッセンスが詰まっているので、楽しみながら勉強していきたいです。

最後に、この間のオススメ本のまとめです。

1、「利他」に関心があって読みました。5人の識者がそれぞれの立場で紐解いていき、「利他」から広がるイメージを受け取りました。

2、上記からの繋がりで読み進め中です。音楽との共通点も沢山ありかなり興味深い。高校生以上にオススメ。哲学と音楽は密接。

3、買っていながら読めていなかった本。小澤征爾さんや舘野泉さんのピアノの師匠の本です。小林仁先生の師匠・井口基成先生の世代の話が臨場感を持って伝わってきました。革命や戦争で日本へ逃れてきた外国人ピアニストたちが、日本の音楽教育を引き上げたエピソードなど、混沌とした時代の中で音楽を繋いでいった先代たちの情熱・礎があってこそ、私たちが今あることを教えてくれます。

4、オススメ本。ロシアという国を「ピアニスト」から知れる1冊目。「音楽をやる」という土台の意識から全く違うことを知った本でした。

5、2冊目。著者の朴久玲先生が留学されていた1990年前後のロシアの様子が描かれ、勉学の様子はもちろん、生活の様子も細やかに描かれており、熱い文章に心が震え一気読みした本です。(絶版になっているようでAmazonでは中古で購入できます)。

6、この前バッハコンの審査員室で話題になった本を読み進め中。高校生の生徒が「私も今読んでいるところです」の一言にびっくり。先生は今頃だよ…。シェーンベルクがベートーヴェン作品を中心に、作曲技法について書いています。譜面を「感性」で読むことはもちろん大事なのだけれど、大きな作品を弾くときほど、アナリーゼの知識がないと弾ききれないのを感じます。作曲家の意図の裏づけをもっと読めるようになりたいので、こうした本のインプットも今年は積極的にしていきたいです。

7、話題の本も注目しています。今、読みたい本が渋滞中なので少し先かな。今こそ、ウクライナやロシア、ヨーロッパの知らなかった歴史を知る機会とも思います。私たちが毎日のように触れている作曲家たちが生きていた時代、ヨーロッパで何が起きていたのか。その空気感を知識→想像力で感じることは、今、世界で起こっていることをリアルに捉えることへ、繋がっていくと思います。

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