6/21【ゆっくり練習】

上手くなってきたなと思う人たちの共通項は、この練習の精度が上がってくる時、と言っても過言ではないくらい。ある程度のテンポではそれっぽく弾けていても、ゆっくり弾いてもらうとスラスラ弾けないというケースが割とあるのです。生徒の中にゆっくり練習の達人がいます。特に弾き込み時期にゆっくり弾いてもらうと、拍子が感じられるギリギリの遅さで(多くの人はすぐ早くなってしまう)音の繋がりや重なり方、タッチのコントロール、瞑想状態なのではと思うほど集中している。もちろん迷わない間違えない。こういう練習の積み重ねから精度が上がってきているのを納得させられます。ゆっくり練習はゆっくり弾くことが目的ではなく、この瞑想状態にも似た全神経の研ぎすまし状態を作るため、であることがわかってくると、この練習に多くの時間を割けるように。実際のテンポでまとめていく練習とミルフィーユ状に何層も積み重ね、手間暇かけて曲と近くなりたいです。

6/27自分流の方法を考える】

上達のコツ。「先生の言っていることを、自分が理解しやすいやすいように変換する」。先生はこう言っている、取り入れるにはどうやったら自分なら理解しやすいか、その変換機能を作ってみる。例えば、「拍子が安定してない」と言われ、メトロノームでゆっくり・中位・テンポ・テンポより少し速い、の4種類くらいで練習このくらいまでは発想できると思います。プラス、楽譜を頭で演奏しながら指揮をふってみる、重要なパートのリズムを手拍子してみる、拍の頭に来ている音(またはハーモニー)を取り出して弾いてみる、また、映画で見た行進のシーンをイメージしながら弾くと上手くいく、など。私は理解する回路に癖があるらしく、中学頃から先生の黒板の記載をよく自分用に書き変えていました。同じ内容でも、スムーズに頭に入ってくるのです。練習しているのに、いまひとつ直りが甘いと感じている人は、ぜひ自分教育用プログラム開発を。個性的なラインナップほど、その人の練習を強めてくれると思います。

7/3【誠実・信頼】

クラシック音楽という広大な流れの中、今まさに歴史のポイントに居るのを感じています。いいものをシェアし未来へ残していきたいという気持ちは、時代に関係なく自然と起こるもの。限られた条件の中でいかに繋いでいくか。10年後、100年後、この時代はどう評されているのだろう。オンラインが生活に入ってくるようになって数ヶ月、「誠実」「信頼」といった使い古された言葉の威力を感じます。クラシックを繋いでいくことは、人との繋がりそのもの。オンライン/オフライン問わず、時間をかけて関係性を育てていく。そのことに、最近とても気づかされています。

7/4【若かった頃の自分へ】

 若かった自分にアドヴァイスできるなら何て言うかな、と考えてみる。「もっと自分の感動・関心に正直になっていい」。学校や社会の既存の基準でトップを目指すのも、ひとつの生き方と思います。でもそのトップへ近づけるのはほんのひと握り。「独自の生き方をする」視点を若い頃から持っておくことも、結果的に価値になっていくと思うのです。新たな価値を自分が生み出していける可能性がある。「どんなことに感動し、夢中になれるのか」。「どんな世界に貢献したいと思っている?」という、少々大げさな問いもヒントになるかもしれない。生徒たちを見ていると、なんとユニーク・個性豊か、と感じます。その中には既存の基準だけでは測りきれない魅力を持った子もいる。そういう芽を大事に拾い上げて生徒に伝えていくことも、今の私の仕事のひとつと感じています。

7/12【練習と演奏の紐づけ】

レッスンレッスン、この間の進歩は練習にかかっている。この「練習」に先生は付き添えないので、どうやったら次のレッスンまでに演奏を引き上げて行けるか、「練習」が実際の「演奏」と紐づいているか、ピアノを学ぶものなら避けては通れないテーマ。ピアノの前に長い時間座っていることが演奏のレヴェルアップに繋がっていないケースがある一方、環境/状況的に弾く時間が少ないのに毎回レッスンで成長してくる(指摘を直し演奏へ繋げてくる)人もいる。このことからも、練習は「音が鳴っている」だけではない、と言えます。練習時の「作品を魅力的に立ち上げたい」という能動的で新鮮なパッションには、曲について調べる、本を読む、音源を聴く、絵を見る、分析する、他の編成にアレンジして頭の中で鳴らしてみるetc…多角的なエンジンも必要かもしれない。ピンポイントで直していく徹底攻略に関しては、練習ノートにつける、付箋をつける、録音の確認作業を増やす、五線紙に書いてみる、など「弾かない」視点から俯瞰することで、的確なアプローチができるかもしれない。前回のレッスンでの指摘が改良されたかどうか確認できていないまま次のレッスンを迎えることが減れば、内容を積み重ねていくことができます。ある生徒が練習の仕方に変化の兆しを見せてきました。自分を変えていくことは大変なはずで、本気にならないとマズイと思うことがあったのかもしれません。楽譜を五線紙に写し、録音での確認作業を増やし、頭や体に入ってくるやり方を変えてみたそう。面倒を実際の行動へ移す情熱が出てきたことが、音楽への愛情の深まり、とも感じた瞬間でした。面倒超えていくモチベーションは何事も「愛情」からかもなぁ・・・

7/13【コンクールは通過点】

この季節になると何度も生徒に繰り返してしまうのですが、コンクールは勉強の通過点です。レパートリーを広げ、基本を踏まえ、勉強を続けていく。その一部としてコンクールを捉えてほしいと願っています。「評価」をクローズアップし過ぎず、練習の振り返りや今後の学習の糧にする方が何倍も大切なことを伝えたいです。若い頃、私も受かっている人が眩しく、評価を得ている人が羨ましく見えました。しかも感覚的に襲ってくる波も大きいので、冷静になることが難しい。でも、自分の道を見失わないこと、自分の領分を生きることの方が、ずっとずっと大事なスキルになってきます。コンクールはその人のピアノ実力のほんの一部。ここを全てと勘違いせず(コンクールに強く譜読みがきちんとできないという人に何度も遭遇してきました)、正しいコンクール利用をして実力を伸ばしていってほしいです。そして、この素晴らしいクラシック音楽の世界を繋ぎ伝えていく人へと成長してほしいです。

7/15【連動/選曲】

自分も含め鍵盤奏者はつくづく「指が動いている」「音が鳴っている」ことに満足してしまいがち。1人アンサンブルをするピアノは、音数の情報量を処理するだけで、あっという間に時間が取られてしまう。だからこそ、連動/循環を作る意識を常に持つ必要。目(楽譜)頭・心(イメージ)指・身体(タッチ)耳(確認)

昨日、ある先生と心の成長が曲の内容と合っているかどうかも若い頃の選曲において大事という話になる。曲に心が動かされること(共感/感動)こそが、内的なパッションと繋がる。ここが薄くなると「難しい曲を弾く」ことが価値になりやすい。「難しい曲を弾かないと試験やコンクールに有利じゃないから」という選曲動機は、長い目で考えると実は危ない要素が含まれる。最近幼い演奏が多いと思うのも、この点と結びつくのかもしれない。反対に、年齢相応でない幼すぎる選曲へも疑問に思うことがある。心の成長と選曲、ここらで腰据えて考えるテーマかもしれない。

7/19【波動を吸う】

音の後ろにある波動をどう聴いたらしっくりくるのだろう。試行錯誤。最近「波動を全身に吸わす」という感覚が出てくる。耳から入ってくる波動だけでなく、皮膚からも吸わせるイメージ。私が弾きに行くのではなく作品から来る波に身を委ねる循環…   波動と呼吸…   まだ抽象的。もう少し掘ってみたい。

7/22【拮抗のエネルギー】

「支え」「脱力」「体幹」「指」「打鍵」「離鍵」「吸う」「吐く」「自分」「楽器」。拮抗と循環。相反と共鳴。「」の感じ方。武道は、相手のエネルギーを使って自らの投げるパワーに変える、という話を読んだことがあったな。

7/24【哀】

「怒り」の表現には、「哀しみ」「孤独」を纏っていることが多い。なぜ怒っているのか、許せないのかその根源にあるギリギリするような「哀」。作曲家の描く「哀」の世界は時として強烈。静かなキャラクターに収まらない。「哀」と共震できた時、生徒の演奏にはグッと深みが出てくる。年齢も国も時代も違うはずなのに、楽譜を通じて生まれる共感。

7/26【音が鳴っていることは練習ではない】

練習の精度をどう上げていったらよいか。反復練習/片手練習/声部別/指のポジションetc… 練習していると、その行為そのものに満足してしまいがちだ。この「音が鳴っていることに安心する」タイプの練習を、案外、常習的にやってしまっている気がする。今やっている練習が、どこへ向かっているのか。譜面から読む表現のイメージへ結びついているかどうか。こう考えるとテクニックよりも、自分に内在する音楽を育てることの方が優先なのかもしれない。全ての練習をこの源泉へ紐づける。

7/28【ピアノと生活】

普段の生活が音楽に結びつく体験を初めてしたのが高校生の時。中学までピアノは好きだったけれど、どこかお勉強感覚。都芸で音楽の面白さを知り夢中になった。真剣に取り組むほど、音楽への気持ちを加速させることも知った。高2冬、寒い日。手を洗おうと水道の蛇口をひねった水がとても冷たかった。首元までヒヤッとする身構えを感じた時、瞬間的に「あっ、この感覚、音楽に使える」と思った。日常の何気ないひとコマが音楽へ繋がるなんて、それまで思いもしなかった。私の中で、ピアノが「勉強」でなくなった記念日、と言えるかもしれない。

7/30【音楽を読む】

譜読みが早い人は「音」を読まない、「音楽」を読んでいる、の話。音以外のインフォメーションタイトル、楽語、速度、拍子、調性、モチーフの型、声部の役割、パッセージetc… これらを含めて読んでいく。譜読みは、音とリズムを入れるのではなく、他の情報も手がかりに「だいたいこんな音楽が鳴るかな」と当てを付けて弾く作業。設計図を読むように、頭の中で立体を作る。知っている曲ならば、「この曲はこんな風に書かれていたのか!」と解体図を読んでいるような気持ちになると思う。譜面のぱっと見の視覚の印象も(音数の多い少ない、同じ形が続くかどうか、基本になる音符の種類etc…)助けになる。ひとつひとつの「音」を読まないで、譜面を頭の中で鳴らせる力を鍛えることで、譜読みスピードは上がってくる。

7/31【クラシックを学ぶ意義】

クラシック(古典)を学ぶ意義。迷ったり悩んだ時は、ここに帰ってくればいい。風雪と時代に耐えた芸術家のメッセージを、音楽を通じて知れることは、生きる上でどれだけ助けられるか。特に演奏することで、作品との個人的な繋がりが深くなる。年を追うことに、楽譜から色々な風景が見えるようになってくる。この譜面からもらう情報量だけは、若い頃とは比べものにならない。そして一生かかっても知りつくすことのできない膨大な領域。続ける楽しみ。クラシックを学ぶとは、生きる「軸」になる。

8/2【演奏のフィールド】

この前Blogに書いたテーマの続き。演奏の段階を「第1フィールド(動き/基本)」と「第2フィールド(響き/表現)」と分けて考えるとしっくりくることが多くなった。第1フィールドに余裕が出てこないと、第2フィールドが成立しにくい。2つのフィールドを行ったり来たりしてみようと思った時期もあったのだけど、第1フィールドが心許ない頃に第2フィールドのレッスンをしても、拍子や動きが乱れるなど第1フィールドが怪しくなる。第1フィールド第2フィールド、この順番は必須な気がしている。土台がしっかりしていないと、結局おもちゃ箱をひっくり返して、もう1度やり直さなくてはいけなくなる。第1フィールドの時間が早ければ、第2フィールドを長く熟考できる。そしてこの第2フィールドこそ、探求しがいがある世界。第1フィールド分野も大変なのでそこで満足してしまいがちだけれど、その先の第2フィールドへ。「聴く」耳のテクニック。ここへの感覚・関心に言葉を尽くしたい。

8/4【初期譜読みのコツ】

1、「作曲家」「タイトル」「拍子」「調性」「テンポ」の確認。大まかな曲のキャラクターの目星を付ける。例えば、ショパンの「バラード」を弾いていて「バラード」の概要を話せない人ってけっこう多いのです。事典に乗っているような説明でなくていいので、だいたいこういうスタイル、ぐらいはパッと言えるようにしておきたいです。

2、音/音楽の読み方はグループで。中心になるテーマ、この主人公を観察。特徴をつかむ。曲中にこれが出てくる度にチェックをしておく。転調や音域、ちょっとヴァリエーションしているだけ、ということも多い。テーマが2〜3ある曲は、大きな段落が見えてくるので、そこで区切る。私はここで書き込んでしまうタイプ。どんどん印を付けて自分にわかりやすく頭に入れる。

3、声部の役割チェック。基本的なところでどっちがメロディーで伴奏か。内声の動きがある場合、メロデイー系/伴奏系/副要素系、なども読んでしまうとバランスが頭でイメージしやすい。

4、伴奏もメロディーも、パッセージはひとつの手の形で取れるところまでひとグループ(この取り方だと音楽的なグループとは違う場合も多いですが、あくまで動き用の取り方)。それをしなやかにバラし、連続させていく。跳躍があるところは、幅をだいたい把握しておく。

5、リズム・拍子チェックはメトロノームを使う。

いちばん効率的でない読み方が「ひとつひとつ音を読む」やり方。譜面を見て、音を出す前に観察する習慣が付くだけでも、違ってくると思います。だんだん「模様」で読めるようになってきます。あと譜読みスピードのためにも、24調は早めに体に入れておきたい。インヴェンションに入ったら、スケール/アルペジオ、少しずつ始めたいです。

8/5【音楽を仕事にする】

ここ最近、「音楽を仕事にすること」について考えることが増えた。その中で、「神」「宮廷」「時代」「祖国」「愛する人のため」に捧げられてきたクラシック音楽たちは、現代でどこへ向かおうとしているのだろうか、という問いが湧いている。数が君臨する現代、「神様」のために音楽の仕事をする人は、ほとんどいない時代になった。では何に向かって音楽で仕事にしているのか? 経済(お金)/いい生徒を育てる/うまく弾きたい/社会的ステイタス・キャリア/感動や勇気を与えるetc…色々あると思う。でもこれらを超えたもっと大きな世界へ向かうことは、出来ないのだろうか。「面白い」「感動」という原点に立ち返るのもひとつだろうか。クラシックは興味深いテーマの宝庫。感動の「いいね」は拡散したいと思うし、受け継ぐものを増やしたいと自然と思うもの。「感動」「面白い」の世界観は、「神様」を超えていけるのだろうか。もっとすごい源流はあるのだろうか。現代において、クラシック音楽を受け継ぐとはどういうことなのか。人間の欲望を吸い上げるだけの圧倒的な世界観へ巻き込んでいけるかどうか。

8/10【曲はどこへ向かって書かれたのか】

曲はどこへ向かって書かれたのか。「神様」「貴族」「祖国」「愛する人」「技巧」「歴史」「風景」「感情」etc… ここをもう1度洗ってみよう、と話し合う。曲の世界観の再考。

8/13【2〜3年後へ向けて】

ピアノは、今やっていることが2〜3年後に成果が出る、なんてことがざらに起きる。すぐには目に見えない長期的な視点。だから継続と情熱(向上心)が何より大切と思う。ひとつのことを掘っていく深みと楽しみ。

8/21【レパートリー】

多くの曲を並行していくことは、あるレヴェルから必須の課題。レパートリーを増やすには、「どう効率よく練習していくか」がキーポイント、と益々感じます。闇雲にピアノの前に座るのではなく、「何をどう練習すれば演奏へ効果的か」分析し、エネルギー配分を考えてから練習を始める。自分にとって「効果的な練習」がわかってくることで、仕上がりへの効率化、曲が深まってくる感覚、が進むように思います。自分の問題を客観的にピンポイントで掴むトレーニング。将来、教える際にも繋がるスキル。

8/22【インヴェンション講座】

昨日は勉強day。チェンバリスト桑形亜樹子先生の「インヴェンション装飾音講座」第1回を聴きに西永福へ。対策&少人数での開催でした。インヴェンションを「装飾音」に的を絞って見ていく内容で、バッハのトリルは本当に上からかけるのか、バッハとダングルべールの装飾音表の見比べなどの歴史的な背景、そしてインヴェンション1番と2番について元々書き込まれているものから他の可能性まで詳しく検証。あ〜、昨日の昨日まで、2番で上からトリルをかけて平行が出来てしまうこと、全く気づいてなかった。耳慣れているって恐ろしい汗。そして、こういう問題箇所についての考察がとても面白かったです。禁則をわかっていて敢えて表現するのか、回避するか、その検証が大事、という先生の言葉が響く。1618世紀の視点からバッハを読み解き、作曲や演奏家としての先生の見解はめっちゃ新鮮です。小林仁先生のオンライン・インヴェンション講座も含め、今、原点へ立ち返っている感じ。シンプルでお馴染み曲なのに、まだまだ新しく読めるではないか!

9/1【傘】

子供がうまくいっている時は存分に子供が味わえばいい。うまくいかなかった時こそ、傘になる母であろうと思ってきた”   我が母ながら、この教育方針を聞いた時は泣けた。これが、どれほど恵まれていたことだったか、大人になって気づいた。生徒にもそうありたいと思う。うまくいかない時こそ、一緒に考え味方でありたい。ハンモックでありたい。自分でも「鬼だな」と思うような厳しいことを言うこともあるけれど、生徒が苦しい時は全力で支えたいと思っている。

9/7【曲に育てられる】

どうしても弾きたい、心から表現したいと思える作品とめぐり逢えた時、曲が演奏者を育ててくれる。生徒を見ていても、曲が生徒たちの感性を咲かせてくれるているな、と感じることがある。

9/14【子供用プール、大人用プール】

レッスンの中で、生徒と見ている観点の違いを感じることがあります。例えば、子供用プールで自分なりに頑張って泳げることを「良し」としてほしい生徒。でも、こちらは、大人用プール海でも泳げることを想定して話している。足のつかない深い大人用プールや海で泳げるために、必要なことをしつこく言わねばならない時があります。大人用プールで泳いでみたいなら、スキルを付けないと泳げない。それを伝えた時、厳しい、面倒、と取るかどうかは、生徒と指導者が一緒に「海」を見据えているかどうかにもよる。その意思の疎通のために、日々レッスンの中で、生徒と信頼を積み重ねていきたい。そして、様々な曲の「海」を一緒に味わいたい。言い方やタイミングを研究しつつ、伝えていきたいです。

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