拍子やテンポの安定、読譜の速さ、声部の聴き分け、リズムの捉え方など、これらを鍛えるのに一番いいのは、ソルフェージュと思います。若い頃からピアノを弾くのとは別に、ソルフェージュに取り組んでおくことは、演奏の質向上へ繋がります。
例えば、リズムや拍子のよくないところを、音を出さず手拍子や指揮をしてから弾くと、何度も同じ箇所を繰り返し弾くより、ずっと良くなるケースも多いです。ソルフェージュは音高音大の受験科目ではなく、音楽をやる上での基礎力で、特に情報量の多いピアノ演奏において、基礎面でのストレスを少なくしておくことで、他のことへ気を配れる利点があります。
演奏を深め、楽譜から読み取るニュアンスや発想を乗せていく際に、この土台が強いと、ちょっとしたことで全体のフォームが崩れる心配が少なくなります。そして、この土台が美しいほど、仕上がりの透明度が違います。
解釈や説得力を持たせる演奏へ深めること、ニュアンスやタッチの種類は、専門性が進めば進むほど追及が要ります。そして、マスターコースや単発レッスンではここが主なレッスン内容になっていきます。お化粧で言えば、どんな色を使って、グラデーションを出して、というところでしょうか。その色が映えるため、下地である素肌を美しくするために、運動や食事など内側から体質改善も必要になってくる。ソルフェージュは、まさにここです。
夏休み、ピアノを弾くことに加えて、ソルフェージュも強化してみては。初見、リズム打ちや歌のテキストなら、Amazonや楽器店でも購入できますし、まずは家で自主的に始めてみるのも、いいトレーニングになると思います。